11. 鐘の音 |
朝8時、いつものように教会の鐘の音で目が覚めた。
もっとも、今朝の鐘は目が覚めた後もしばらく鳴りやまなかった。
シンプルな音の組み合わせのいつもの鐘の音の後に、メロディを奏でるような鐘がしばらく続いた。
クリスマスの朝だけの特別な鐘なのだろう。
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天気はおだやか。
そして、クリスマスの風車小屋はのどかである。
もっとも、ここはクリスマスでなくてものんびりしているのだが。
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外に出ると、子どもたちが広場でサッカーをして遊んでいた。
今日は学校も休みなのだろう。
街には人がおらず、いつも行く肉屋も今日は店を閉めている。
来るあてのない客を待って、サンタクロースがひとりで店番をしている。 |
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人のいない街は寂しいかというとそうでもない。
こういう寂れた雰囲気にぼく自身がすっかり慣れてしまったということもあるのだろうが、行く先々で出くわす風景には飽きることがない。 |
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夕方5時。
教会の鐘の音が島に響く。
夕方の鐘は、今朝の鐘のように長くはない。
いつものシンプルな音を組み合わせた鐘の音だ。
鐘が鳴りやむと島はいつものおだやかさと静けさを取り戻す。
こうしてサントリーニ島はまたいつもの日常へと戻っていくのかもしれない。
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