サントリーニ島のクリスマス
 8. 島一番のスーパーマーケット

 イアに行った翌日ぼくは、クレオパトラが働いているスーパーマーケットに行ってみることにした。
 クレオパトラいわく、「サントリーニ島で一番大きい」スーパーマーケットである。
 スーパーへ向かう途中、ロバに乗ったおじさんに出くわした。


 サントリーニ島には、観光客相手にロバで商売をしている人たちがいるが、このおじさんはそういうふうでもない。


 日常の足として、普通にロバに乗っているようである。


 日常の足といえば、ギリシアでは意外に路線バスが整備されていて、ここサントリーニ島でも、住民が日常の足として、バスを利用している。


 街の中心には、バスターミナルもある。


 もっとも、ターミナルに停まっているバスは、ロバよりもかろうじて速く走ることができるような代物に見えるのだが。


 「島で一番大きいスーパーマーケット」は街の中心から200メートルくらい南に行ったところにあった。


 確かに、これまでいった店の中では一番大きい。


 もっとも、バスターミナルに停まっているバスと同じように、どこかしら寂しげな感じがする。
 この「どこかしら寂しげな」ところがギリシアの魅力のひとつでもあるのだが。

 店の中には、オリーブの瓶詰めからネズミ捕りにいたるまで、あらゆる食料品と日用雑貨が揃っているが、時間帯のせいもあってあまり客はいない。



 ペプシコーラの看板の前では、サンタクロースが見えざる買物客を相手に、クリスマス商戦の営業を展開中である。

クリスマスまであと3日。